日本文化に根づく夏秋の花『キキョウ』
キキョウ(桔梗)の学名はPlatycodon grandiflorumといいます。属名のPlatycodonは花の形に由来してギリシア語のplatys「広い」+codon「鐘」が語源となっています。種小名grandiflorumは「大きい花の」という意味です。別名はキチコウ、オカトトキ、英名ではChinese Bell Flower、Balloon Flowerと呼ばれます。原産地は中国、日本です。
高さ40〜100cmほどの多年草で、6〜9月に青紫色をした星型の花を咲かせます。花が開く前の蕾は風船のように膨らんでいて、英名「Balloon Flower」の由来でもあります。根は太く黄白色で、小ぶりの朝鮮人参のような形をしています。名前の「桔梗」の字はこの根が土とかたく結ばれ抜きにくいことを意味しているそうです。茎を折ると白い乳汁が出るのも特徴の一つです。春の若葉は山菜として利用されます。

星形の花を咲かせます

茎を折ると乳白色の汁が出てきます
地上部が枯れた秋冬に採取した根を洗い乾燥したものが「桔梗(ききょう)」、「桔梗根(ききょうこん)」と呼ばれ、生薬として利用されます。煎じて民間薬として、また漢方薬などにも配合され、咳止め、気管支炎などの呼吸器系の炎症や鎮痛の目的で用いられています。

キキョウの根 もう少し大きくなったものを掘って乾燥させて利用します

のど飴にも配合されています
キキョウは秋の七草の1つで、『万葉集』に登場する山上憶良の短歌2首が由来とされています。秋の七草は、春の七草(10世紀頃)よりも歴史が古く、その植物はハギ、オバナ(ススキ)、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、そしてキキョウといわれています。キキョウはかつて各地の日当たりのよい野原などに多く群生していました。現在は自生種は絶滅が危惧され、栽培品種が流通しています。

栽培品種は白色もあります
桔梗の絵柄は日本画としても見ることができますが、家紋としても用いられ、美濃の国の土岐氏の家紋としても有名だそうです。美濃の武将としてこの桔梗紋で有名なのが明智光秀です。さらにその昔安倍晴明の家紋五芒星も桔梗をモチーフにしていたとも言われ、桔梗は神が立っている草としても好まれていたのだそうです。戦場では兜に桔梗の花をさして戦ったりもされたと言われています。江戸城には桔梗の間、桔梗門という名前が付けられており長く武士にも好まれたことがわかります。

江戸城桔梗門
キキョウの楽しみ方
キキョウの薬草茶
<材料>
乾燥したキキョウの根 5g
乾燥したカンゾウの根 3g
水 500ml
<作り方>
水に乾燥した根を入れ半量になるまで煎じます。1日3回に分け、温めて服用します。キキョウだけですと苦みを感じて飲みにくいのでカンゾウを加えます。
※キキョウの根に含まれるサポニンには弱い毒性があるので大量に服用することは避けましょう。特に胃腸の弱い方は、冷ましたものをうがいのみで使用するようにしましょう。
参考文献
「ハーブのすべてがわかる事典」ナツメ社
「自分で採れる薬になる植物図鑑」柏書房
「日本のハーブ事典」東京堂出版 村上志緒著
ブログ著
鈴木さちよ
- インスタグラムでもハーブ、庭作り、身近な植物などについて発信しています

