ほっと安らぐ香りを楽しむ秋のハーブ『キク』

 

キクは中国原産で奈良時代の頃日本に伝わったそうです。キクと言っても多種ありますが、今回は日本で秋に出回る食用菊を紹介したいと思います。

東北地方では、特に秋になると自宅周辺に植えた食用菊が黄色や紫色に色づきます。茨城でもかつてはよく見られた風景です。

親戚の叔母さんがいつも端正に手入れして収穫した黄色いキクを分けてくれたことを思い出します。

その経験からか、はたまた成分なのか、キクの香りはホッとして安らぐことができます。普段キクの香りなど嗅ぐことも少なくなりましたが、ぜひお試しください。

漢方では栽培品種を内服薬として利用します。

最近のデータによると、狭心症の患者様が菊花エキスを毎日2回、2ヶ月飲んだ結果、半数の方の心電図異常が改善され、80%の方が高血圧や動悸、めまい、息切れが消えたそうです。

また、高血圧に伴う近視や乱視、目の充血にも有効とされています。

この秋、古き良き郷土食を見直してキク(食用菊)を食してみようと思います。

鈴木 さちよ

 

乾燥キクの花弁でつくる
キクノリ(海苔)

10~11月に食用キクの頭花を摘み取って陰干しにします。花弁を蒸して板のりのように薄く広げて乾かします。

これをキクノリといって、海苔の代用として利用できます。

 

2~3種の花びらで色鮮やかに
キクの和えもの

<材料>

食用菊 6~7頭花

酢    大さじ1

薄口醤油 大さじ1

砂糖   小さじ1/2

(お好みで)エノキ茸   1袋

(お好みで)ほうれん草  1把

<作り方>

1.2~3種色の食用菊を用意し、花びらを外し、バラバラにします。

2、鍋にたっぷりの熱湯を沸かし、キクの花びらをさっと茹で、ざるに広げて冷まします。

3.酢、醤油、砂糖を混ぜ合わせてよく和え、器に盛って出来上がりです。お好みで醤油をかけてください。

お好みで茹でた青菜や茸を加えても楽しめます。

<参考図書>

「食品図鑑」(女子栄養大学出版部)

「薬膳薬酒」

「料理の辞典」(朝日RK)

「自分で採れる薬になる植物図鑑」(柏書房)

<監修>

管理栄養士 坂本禮子

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