救民妙薬のハーブ紹介vol.7『アイ(藍)』
アイ(藍)の歴史は古く、古代エジプト時代にも利用されており、ミイラを包んでいた麻の布はアイで染められていたそうです。
日本へは古墳時代、邪馬台国の女王卑弥呼が魏の国(中国)へ使者を送った時にアイが伝えられたとされています。その後聖徳太子の時代に冠の色で位を表すようになり、紫が一番高貴な色で青はそれに次位の高い色とされ、この青はアイで染められていたといわれています。江戸時代になると木綿が普及するとともにアイがさかんに使用され、アイを使って藍色に染める染物店が紺屋と呼ばれていました。アイで染めた生地は丈夫になり、虫除けにもなると各地で盛んに栽培されたそうです。特に阿波国(徳島県)では良質のアイが栽培されました。
属名のPersicariaはラテン語のPersica「モモ」が語源とされます。この属の植物の葉がモモの葉に似ていることにちなむといわれています。また、種小名のtinctoriaは「染色用の、染料の」といった、染色用に利用できる植物であることを意味しています。日本においては、アイは単一の植物を指すのではなく、沖縄のリュウキュウアイから本州のタデアイ、北海道ではエゾタイセイと藍色の色素を含む植物の総称として親しまれています。
種を3〜5月頃に蒔き、葉を7月頃採取する一年草ですが、こぼれ種で繁殖しやすく、増えすぎないように見守り管理する必要があります。
アイの楽しみ方
アイとミントのグラニティ
<材料>
水 300cc
アイ、ミント(生) 適量
砂糖またはハチミツ 大さじ3
レモン汁 大さじ2〜3
<作り方>
材料を鍋に入れ砂糖を煮溶かしたら粗熱をとり冷凍室で固めます
取り出してスプーンなどで砕いてグラスに盛り付け、飾りに小さなアイの葉を飾り出来上がり
*アイは解毒や消炎作用があり、ハーブティーでもデザートでも、若葉をお浸しや味噌汁の具などにしても楽しめます。
虫刺されに
生の葉をよくもんでしぼった汁を虫刺されや切り傷に塗りつけて利用することができます。
救民妙薬では
解毒、悪虫毒など諸々の毒消しに用いるとされます。
救民妙薬とは?
「水戸黄門様」として知られる水戸藩2代藩主・徳川光圀公が藩医穂積甫庵(ほづみほあん)に命じてつくらせた日本最古の家庭療法本(1693年)。
手帳ほどのサイズで、中風の妙薬にはじまり、酒毒・蛇咬(へびくい)・痔・しもやけ・虫歯・頭痛・脚気・腹痛・おこり(マラリア等の熱病)等、手軽に入手できる薬草を主に用いる処方397種が130項にわたって平易な言葉で記載されており、明治・大正まで続くロングセラーとなりました。
参考文献
「自分で採れる薬になる植物図鑑」柏書房 増田和夫監修
「くらしの野草と漢方薬〜ハーブ・民間薬・生薬〜」新日本法規
「ハーブのすべてがわかる事典」ナツメ社
ブログ著
鈴木さちよ
ブログ監修
管理栄養士 坂本禮子