暮らしに根づき健康を支えてきた水辺の植物『マコモ』
イネ科マコモ属の多年草、学名Zizania larifolia、古名は花勝見(はなかつみ)。別名はコモガヤ、チマキグサ、カツミ、コモクサ。同種・近縁の西洋ハーブとしてはワイルドライスがあげられます。自生地域は中国および日本全土、生育地は沼、河岸などの湿地です。


中国の古書『隋書東夷伝』に「倭人は草を編んで薦(こも)となす」と書かれているように、日本では古代から地面に敷く敷物あるいは荷物を包むシートとして、マコモで編んだものを「菰、薦(こも)」として一般的で便利に使われていました。そして仏壇のお供え物の敷物とする風習もあったようです。稲作が行われるようになってからは、この植物から作る菰(こも)と稲藁からつくる菰(こも)を区別するため、元来使われていたこの草を「真の菰」として「マコモ(真菰)」と呼ぶようになったのが名前の由来と言われています。ちなみに稲藁からつくる敷物は茣蓙(ござ)と呼ばれています。
平安時代中期に醍醐天皇の名で編纂された『延喜式』には写経をする者に年に十二枚の「折薦(おりこも)」を支給するという規定が載りました。敷物、座布団のような位置付けで用いられた記述が多くみられます。同じく『延喜式』に「5月5日に菖蒲と生マコモを調進する」「5月5日節に作る粽用に、新鮮な青マコモと生糸を臨時購入する」とあります。この記述から5月5日の節句につくる粽(ちまき)はマコモで包み、生糸で巻いていたことがわかります。
中国南部から台湾では水田で栽培され、マコモの若芽料理などが強壮のための食事として日頃から食べられています。マコモの根である「菰根」と果実「菰米」は、ともに消化不良、止渇、心臓病、利尿に効果があるとされて利用されています。
日本では、葉を乾燥させたものや種子を家畜の飼料としていた時代がありました。また、黒穂病菌の帰省した真菰筍をそのままにしておくと胞子が熟して黒い粉が豊富に出ますが、これを干したものを「真菰墨」と呼んで、絵画でセピア色に染める時に用いたり、油脂に混ぜて化粧の眉引きに使ったりしたこともあるようです。
現代の日本では、この真菰の葉を収穫乾燥させたものをハーブティーとしてや入浴時の浴材や枕の詰め物などにも利用されます。肥大した真菰筍をぬか漬けや料理にして食用にもされています。また、乾燥した葉を利用して縄や織物、正月飾りなどを作り、縁起物や魔除けとして飾るなどの利用もされています。
ハーブティーとしての利用の適用はむくみ、アレルギー、肌荒れ、水虫、高血圧、作用としては、利尿作用、浄化作用、解毒作用、免疫強化作用、血圧降下作用などがあります。

常陸大宮市の根本さんのマコモの田植え風景
私のハーブガーデンでは昨年、茨城県常陸大宮市のネモちゃんこと根本樹弥さん(根本さんのFacebook:https://www.facebook.com/share/1HU1p1NmL5/?mibextid=wwXIfr)のマコモ苗を購入させていただいて、池や容器の中でひと冬を無事越しました。4月の後半になってしまいましたが、苗を植え直したところです。池に入れると魚たちも喜んでいるようで元気に共生しています。

容器の中でひと冬を越したマコモ


ハーブガーデンの池に植えたマコモ
マコモの楽しみ方
真菰の枕
真菰の葉を収穫し日陰の風通しの良い場所に吊るし完全に乾燥させます。完全に乾燥したら2〜3センチにカットし晒などで袋を作り入れ、さらにカバーとなる袋を作り自分好みの大きさで枕を作ります。真菰の枕は頭の熱を取り去り良質の眠りを誘うとも言われています。

乾燥したマコモの葉
真菰茶
真菰の葉を収穫し日陰の風通しの良い場所に吊るし完全に乾燥させます。完全に乾燥したら2〜3センチにカットしハーブティーとして引用します。または、採取した根または根茎を乾燥して煎じて服用します。
真菰茶はクセがなくどの食事にもよく合います。
*2026年のブログでは、日本の行事や文化に馴染みの深い植物をご紹介しています。
参考文献
「有職植物図鑑」平凡社 八条忠基著
「日本のハーブ事典」東京堂出版 村上志緒編
ブログ著
鈴木さちよ

