香りで心身のバランスを整える『ゼラニウム』
ゼラニウムは別名ニオイゼラニウム、ローズゼラニウム、ニオイテンジクアオイ。学名はPelargonium graveolensといいます。 属名のPelargoniumは、果実の形が鳥のくちばしに似ているため、ギリシャ語のpclargos「コウノトリ」に由来しています。種小名のgraveolensは「香りの強い」の意味。香水の原料や化粧品などに利用され、女性に優しいハーブでもあります。バラの香りに似ているためバラの香りの代用としても利用されます。

ハーブガーデンのゼラニウム
原産地は南アフリカ、高さ60~100㎝の非耐寒性低木でよく枝分かれします。羽状に切れ込んだ葉は軟毛が多く、対生します。春〜夏に薄紅色の花を次々に咲かせますが、不稔性で結実しないため挿木で増やします。冬越しには3℃以上の温度が必要なため、霜を避けられる日当たりのよい場所が室内で育てましょう。梅雨や夏の暑さで蒸れないように、密生した枝葉の部分や伸びすぎた部分などを切り戻します。
ゼラニウムは1600年頃に南アフリカからヨーロッパに持ち込まれ、長い間素晴しい治癒力のあるハーブと信じられ、悪霊を寄せ付けないように家の周りに植えられてきました。
日本には江戸時代にオランダ船で渡来したといわれています。1953年(昭和28年)、精油をとるための試験栽培が曽田香料株式会社によって瀬戸内海の小豆島で始まり、トゥルーローズゼラニウム、パインゼラニウム、クロウフットゼラニウムが植えられました。
利用部分は葉と花で、生の葉や乾燥した葉をケーキ、ゼリー、プリン、ジャム、ティー、蜂蜜などの香り付けに利用します。花はエディブルフラワーとして食べることもできます。
ゼラニウム精油は化粧品の他にも香水の原料や昆虫忌避剤にも利用されます。抗菌、抗酸化、ホルモン調整、鎮静、収斂、強壮、利尿、抗炎症作用を有します。イライラする気持ちを明るくし、心のバランスや自律神経のバランスを取り戻すのに役立ちます。また、ホルモンバランスを整え、更年期障害や月経前症候群などの症状を和らげてくれます。妊娠中、授乳中の使用は注意が必要です。
ゼラニウムの楽しみ方
水出しハーブウォーター
何種類かのハーブを入れてハーブウォーターを作りましょう。
粗塩をひとつまみ入れたり、お好みのフルーツやもう少し自分の好きなハーブやスパイスを入れたりと自分なりのアレンジもしやすいです。水出しですから成分も強くなりすぎず手軽に爽やかにハーブを感じていただけます。使用する葉や花は自宅で育てた無農薬のものか、食用に販売されているものを利用しましょう。
<材料>
ゼラニウムの葉と花 各5〜10枚(お好みで)
バラの花びら 適量
カモミールの花 適量
レモンバームの葉 適量
クローブ 少量
水 1L
<作り方>
収穫したハーブはさっと水で洗い、お好みのスパイスと共にサーバー等に入れて水を注ぎます。数時間冷蔵庫で冷やして出来上がりです。1日で飲み終わるくらいを作るのが理想です。

ハーブトーストと一緒に
参考文献
「ハーブのすべててがわかる事典」ナツメ社
「ケモタイプ精油小辞典」NardJapan
ブログ著
鈴木さちよ
ブログ監修
管理栄養士 坂本禮子