救民妙薬のハーブ紹介vol.3『オオバコ』

日本全域の道端や空き地などによく見られる野草のオオバコ。子どもの頃、葉茎を絡めてひっぱりっこをする草相撲の遊びをした人もいるのではないでしょうか。別名もスモウトリグザ、ゲイロッパ、車前草、車前子、ゲイロッパ、オンバコ等多くの名前を持つ親しみ深い植物です。オオバコ

生薬名である「車前草」は車のわだちに沿って生え、踏まれても強く成長していく草という意味から来ています。種子は「車前子」といい、わずかでも水分を含むと粘液質なゼリー状に膨らみ、足の底にくっついて広がるので、「道に迷ったらオオバコのある道を辿れば人家に近づく」といった逸話があります。花をつけたオオバコ

オオバコの花

オオバコの花

オオバコは、食用やお茶にする以外に、お酒や油等で浸出したものを用いたり、生葉を揉んで湿布したりなど様々な利用法があります。今まで目にも入らなかったオオバコの優れた力を知ると、道端の姿を見つけたときに嬉しく感じるのではないでしょうか。

ハーブガーデンのオオバコの2月末現在の姿

ハーブガーデンのオオバコ(2月末現在の姿)

オオバコの楽しみ方

オオバコ茶

<材料>
オオバコ・・・乾燥したもの10〜15g
水・・・・・・3カップ

乾燥したオオバコ

乾燥したオオバコ

<作り方>
6〜8月頃の花期にオオバコ全草を摘み取り、土砂を落としよく洗い、新聞紙などの上で完全に乾燥するまで乾かします。これを刻んで利用します。
乾燥したオオバコ10〜15gを3カップの水で半量になるまで煎じて布などで濾し、1日3回に分けて食間に服用します。

通常のお茶やハーブティーのように急須で飲んでも楽しめます。季節のハーブティーなどにブレンドしてみてもよいでしょう。

救民妙薬では

淋病(泌尿器の感染症)の薬として、車前子の葉根實を生ですりお酒に入れて服用すると記載されています。

歯痛の薬として、車前草をお酒に煎じて含むとあります。

小児五疳(子供に起こる内臓の病気)には、車前草の葉根實と黒焼きうなぎと用いるとあります。

 

救民妙薬とは?

「水戸黄門様」として知られる水戸藩2代藩主・徳川光圀公が藩医穂積甫庵(ほづみほあん)に命じてつくらせた日本最古の家庭療法本(1693年)。
手帳ほどのサイズで、中風の妙薬にはじまり、酒毒・蛇咬(へびくい)・痔・しもやけ・虫歯・頭痛・脚気・腹痛・おこり(マラリア等の熱病)等、手軽に入手できる薬草を主に用いる処方397種が130項にわたって平易な言葉で記載されており、明治・大正まで続くロングセラーとなりました。

 

参考文献

「暮らしの薬草と漢方薬」新日本法規
「ハーブの写真図鑑」日本ヴォーグ社
「自分で採れる薬になる植物図鑑」柏書房 増田和夫監修
「日本のハーブ事典」東京堂出版
「子どもと一緒に覚えたい道草の名前」momobook
「救民妙薬注解」水戸市医学会史編纂委員会

ブログ著

鈴木さちよ

ブログ監修

管理栄養士 坂本禮子

 

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