救民妙薬のハーブ紹介vol.6『スイカズラ』
ここで紹介するスイカズラは、「ジャパニーズハニーサックル」とも呼ばれ、和名は「忍冬(ニンドウ)」です。寒い冬でも緑の葉をつけて堪え忍ぶところからこの名が付いたといわれています。
つる性の多年生でツルは右巻きに他のものに巻き付いて伸びていきます。花は初夏に咲き、葉の付け根から2個ずつ開花します。この花はとても良い甘い香りを放ち、花の奥には甘い蜜があります。花の色は最初白色で、時が経つに従って黄色に変化します。白と黄の花が入り乱れて咲くことから「金銀花(きんぎんか)」という名前も持ちます。日本の野山に現在でもよく見られる植物です。
スイカズラの別名の「忍冬」、「金銀花」ともに生薬名でもあります。7〜9月に葉がついたままの茎を採取して2〜3日日干しにし、さらに陰干しにしたものを「忍冬」と呼びます。忍冬は口内炎や扁桃炎、咽頭炎にうがい液としてや湿疹やかぶれに煎じ液に布を浸して冷湿布に用います。花の開花期に花蕾を摘み採り、風通しの良い場所で陰干ししたものを「金銀花」と呼びます。金銀花は解熱、利尿、むくみに煎じて利用します。
スイカズラの楽しみ方
スイカズラの入浴剤
<材料>
乾燥したスイカズラの茎葉 50g〜100g
水 適量
<作り方>
布袋などに乾燥した茎葉を入れ、鍋で煮出し、その煮汁とともに浴槽に入れ浴湯料として利用します。
忍冬酒
<材料>
スイカズラの花蕾 10g
ホワイトリカー 180cc
氷砂糖 3g
<作り方>
開花期の花と蕾を採取し、ホワイトリカーと氷砂糖とともに煮沸消毒した清潔なガラス瓶などに漬け込む。1ヶ月ほど熟成させて出来あがり。
救民妙薬では
風邪、お腹の張り、血痢、利尿、諸々の腫れや肌のはれものなど、手足の痛み、冷えによる腹部の激痛などに、煎じ薬または浴剤として利用されました。
救民妙薬とは?
「水戸黄門様」として知られる水戸藩2代藩主・徳川光圀公が藩医穂積甫庵(ほづみほあん)に命じてつくらせた日本最古の家庭療法本(1693年)。
手帳ほどのサイズで、中風の妙薬にはじまり、酒毒・蛇咬(へびくい)・痔・しもやけ・虫歯・頭痛・脚気・腹痛・おこり(マラリア等の熱病)等、手軽に入手できる薬草を主に用いる処方397種が130項にわたって平易な言葉で記載されており、明治・大正まで続くロングセラーとなりました。
参考文献
「自分で採れる薬になる植物図鑑」柏書房 増田和夫監修
「くらしの野草と漢方薬〜ハーブ・民間薬・生薬〜」新日本法規
ブログ著
鈴木さちよ
ブログ監修
管理栄養士 坂本禮子