お釈迦様生誕を祝う甘味『アマチャ』
アマチャは、アジサイ(ユキノシタ)科の植物で、学名はHydrangea serrata ver. thunbergii、原産地は日本です。属名のHydrangeaはHydor「水」とangeion「容器」の合わさった言葉です。小種名serrataは「鋸歯のある」という意味を表します。

高さ70~100cmほどの落葉低木で、関東や中部地方などに分布し、山地や谷沿いに生えるヤマアジサイの変異種です。ガクアジサイの一種ですが、アマチャは葉が薄く光沢が無いのが特徴です。葉・葉柄・茎が赤みを帯びています。5〜6月、枝先に一般的なガクアジサイと同じように散房花序をつけ、両性花の周りを中性花が取り囲みます。花弁に見えるのは萼片が変化したもので、淡紫色から淡紅色に変化します。水はけのよいやや湿った場所を好むものの、丈夫でどこでもよく育ち、挿し木(4月中旬〜9月中旬)で容易に増やせます。花の後もこの萼片の色の変化を楽しむことができます。

アマチャの花
8月ごろ採取される葉はカロリーがほとんどない甘味料として重宝されますが、生葉のままではほとんど甘味がなく、一度日にあて乾燥させた後に霧を吹き、葉に水分を染み込ませながら容器に詰め込み、一昼夜放置して発酵しいてきたら手で揉むようにして水気をとり、広げて乾燥させ、乾燥発酵させることで強い甘味が生まれます。それを煮出したティーが甘茶です。

アマチャの葉、こちらは幼木です。
お釈迦さまのお誕生日でもある4月8日の花祭り(灌仏会<かんぶつえ>)には、きれいに花で飾った小さな御堂(花御堂)に入った釈迦像(誕生仏)に甘茶をかけて釈迦の誕生をお祝いするとともに、その年の無病息災を祈念する行事が古くから行われてきました。お釈迦様は、生まれてすぐ立って、右手で天、左手で地をさし「天井天下唯我独尊」と言ったそうです。その姿を表しているのが誕生仏。甘茶をかけるのは、産湯の意味もあるようです。そして、お釈迦様が誕生した時に九龍が祝福して空から甘露の雨を降らしたという伝説に基づくものだということです。(甘茶はアマチャヅルを煎じたものを利用するという説もあります。)
江戸時代後期には、灌仏会の甘茶で墨を摺り、呪文を書いて便所に貼ると毒虫除けになるという言い伝えがあったようです。
甘茶は甘味料として煎液を用います。カロリーがほとんどないので砂糖の代用品としてダイエットや糖尿病・肥満症の予防等に使用されます。一般的には丸剤などの甘味、口腔清涼剤の甘味原料、歯磨きの甘味、醤油の味付けなどに利用されます。抗菌作用や防虫作用があり、疲労回復や夏バテ防止に効果的で、健康茶としてや口臭予防に利用されます。ただし、多量に用いないことが注意としてあげられています。
アマチャの楽しみ方
甘味料としての利用
甘茶の茶葉3~6gをカップ100g水で半量になるまで煎じて用いる。但し、利用量は少量にとどめる。

*2026年のブログでは、日本の行事や文化に馴染みの深い植物をご紹介しています。
参考文献
「ハーブのすべててがわかる事典」ナツメ社
「自分で採れる薬になる植物図鑑」柏書房
「にっぽんの歳時記ずかん」平野恵理子著 幻冬舎
「有職植物図鑑」八条忠基著 平凡社
ブログ著
鈴木さちよ
ブログ監修
管理栄養士 坂本禮子

