地中海地方で貴ばれてきた万能ハーブ『マジョラム』
別名スイートマジョラム、ノッテッドマジョラム、マヨラナ。学名Origanum majorana L. 原産地は地中海東部沿岸。学名のOriganumは「山の喜び」を意味します。マジョラムは、調味料でもおなじみのオレガノとは近縁種で、オレガノの別名はワイルドマジョラムといいます。このマジョラムはオレガノより繊細な風味で、草形も繊細な立ち性で高さ20~50センチ、灌木状になる半耐寒性の多年草です。
日本には明治の初めに渡来したといわれています。コンパニオンプランツとしても利用でき、アブラムシを遠ざけ、間に植えると野菜の風味をよくすると考えられています。
マジョラムは、古代エジプトではミイラづくりの香料として利用され、古代ギリシャ時代からは薬用や料理にも広く使われたハーブです。ギリシャ神話では愛の女神アフロディーテにより誕生したとされ、名誉と愛と多産の象徴とされました。古代ギリシャやローマではマジョラムを新郎新婦の幸運と末長い寿を願い、冠に編み込む習わしがあったそうです。また、この明るい印象とは反対に遺族を慰め、死者が安らかに眠れるように墓地に植えられていた歴史もあります。マジョラムが墓地で元気に繁殖すると死者が来世で幸せに暮らしていると信じられていたそうです。中世では修道院で治療にも利用されるようになり、船乗りたちは渡来時に万能薬として必ずマジョラムを携帯したと言われています。孤独を感じている人、ひとり暮らしの人、神経性の諸問題の治療に利用されたそうです。
気温や気候の変化や環境の変化が身体のストレスになり、自律神経が乱れることの多い春、マジョラムのような誘眠作用のあるハーブを利用して睡眠の質を上げてリセットするのもオススメです。
マジョラムの楽しみ方
ベットサイドピロー
マジョラムを刈り取りドライハーブにして、同じく鎮静作用や誘眠作用があるハーブとブレンドし袋詰めして小さな枕や匂い袋を作り、就寝時にその香りを楽しむと寝つきがよくなるといわれています。一緒に入れると良いハーブはラベンダー、カモミールジャーマン、ホップ、レモンバームなど。

クラフトには吊るしてドライにして利用しましょう

マジョラムを詰めたベッドサイドピロー
料理にマジョラム
香りの強い葉は臭い匂い消しとして、魚やラム肉などと、また、豆料理や卵料理に利用します。ドイツでは、ソーセージハーブとも呼ばれ、肉の加工や調理に欠かせない存在です。香りを生かすためには料理の仕上げの10分ほど前に加え、あまり長く煮込まないのがポイント。オレガノ、バジル、タイム、セージ、ローズマリーなどとともに細かくしてミックスハーブを作っておいて、スープやシチュー、ポテトサラダやフライドポテト、ピザに利用するのもおすすめです。ブーケガルニとしても利用できます。

細かく刻んでお料理に

マジョラム入りのオムレツ
うがい剤
喉の痛みがあるときや口内炎などができたときにオススメのうがい剤です。マジョラム小さじ1程度を150ccほどの水で煮て、粗熱をとると完成です。マジョラムが少ない場合はタイムやセージと合わせてもよいでしょう。
※注意事項
妊娠中はマジョラムの精油の利用は避けましょう。利用すると眠気を催することがあります。
参考文献
「ハーブのすべててがわかる事典」ナツメ社
「花のもつ癒しの魅力 フラワーヒーリング図鑑」アン・マッキンタイア著 産調出版
「オーガニックハーブ図鑑」ジェッカ・マクビカー著 文化出版局
「プロフェッショナルハーブ療法」アンマッキンタイアー著 産調出版
「ハーブの図鑑」萩尾エリ子著 池田書店
ブログ著
鈴木さちよ
ブログ監修
管理栄養士 坂本禮子