レディスマントルは学名をAlchemilla vulgaris L.《アルケミラブルガリス》といいます。（別種でAlchemilla mollis《アルケミラモリス》もあります。）Alchemillaはアラビア語の錬金術（alchemy）に由来する言葉です。この言葉には「不思議な小さいもの」という意味もあります。

朝露を集めるマントのような形の葉を持つこの植物は、不思議な魔力を秘めていると考えられていました。当時は金属を作り出したり、植物から香り成分を取り出したりする錬金術は魔法の力のようにみられていたのでしょう。

「聖母マリアのマント」とも呼ばれていたこの植物の葉にたまる朝露は、薬を作ったり、金や銀を作り出す際にも使用されたそうです。17世紀にイギリスのニコラス・カルペパーが記した『カルペパーハーブ事典』には、極めて有用で、比類を見ない傷薬として記載されています。

また、レディスマントルは「女性の最良の友」とも呼ばれ、婦人科系との用途にも様々に利用されていました。女性のためのハーブティーなどにも配合されるハーブです。ただし、妊娠中の使用は避けてください。

レディスマントルには葉の形や株の姿が少しずつ違う種類があり、花や葉はフラワーアレンジなどにも利用されます。宿根草なので庭で育てて季節ごとにその姿を眺めるのも楽しみです。

レディスマントルの楽しみ方

ハーブティー

レディスマントルのハーブティーは、女性の不調や月経の周期を整える働きがあり、産後の回復にも役立つとされます。また、口内炎や歯茎の出血などの口腔内症状や老化防止や動脈硬化などの生活習慣病にも役立つといわれています。味は苦味があるので単品で利用するよりも他のハーブに少量ブレンドしたほうが利用しやすいでしょう。抽出液は傷やできものなどの炎症に外用薬として利用されます。

スキンケアに

葉に熱いお湯を注ぎ、立ち上る湯気にタオルをかぶって顔を蒸す、フェイシャルスチームにも利用できます。くれぐれも火傷には気をつけて適温で利用してください。十分に冷めた抽出液は化粧水の要領で肌に直接つけることもできます。

 

参考文献

「ハーブのすべてがわかる事典」ナツメ社
「ハーブの図鑑」池田書店
「ハーブ活用百科事典」産調出版
「女性のためのハーブ自然療法」産調出版
「ハーブバイブル」角川書店
「プロフェッショナルハーブ療法」産調出版

ブログ著

鈴木さちよ

ブログ監修

管理栄養士　坂本禮子

 

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