木蔭で春を告げる青い小花『ラングワート』
ラングワートは、学名をPulmonaria officinalis、和名をセイヨウヒメムラサキというムラサキ科の多年草の植物です。ヨーロッパ原産で、アングロサクソンの時代(5世紀頃)身体の病気を治し不幸を追い払うために好んで用いられました。白い斑点の付いた葉が肺臓(ラング)に似ているので、この名前がつきました。学名のPulmoも肺を意味する言葉です。植物の形から薬効を連想した時代、肺の治療に用いられました。
花はサラダや飲み物に利用します。若い葉はスープに加えることができ、白ワインを主体としたフレーバーワイン「ベルモット」の材料にもなります。
葉と花弁には皮膚を軟化させる作用や去痰・利尿・収斂作用があります。粘質物とビタミンCを含み、細胞の再生を助け、傷口の出血や下痢や痔をくい止め、疲れ目の洗浄にも有効です。更に肺や喉の炎症を鎮め、粘膜の炎症に伴う分泌物を排出し、結核性の咳や気管支炎を治します。
昨今は観賞用の植物としても流通するようになりました。落葉樹の林のまわりの半日蔭で青色の花が小さく咲き始め、やがて葉が伸びて木漏れ日に美しく映えます。明るく深い青色の花は印象的で美しく心に残ります。春になり色のない世界にこの花を見つけると花の季節の到来に心踊る思いになります。
園芸種の花色としては白、水色、赤、ピンクなどの種もあります。独特の斑入りの葉は、花のない時期にカラーリーフとしても愛用されます。ラングワート(プルモナリア)の花言葉は気品。小さいけれどその存在は気品を感じさせ、どこか高貴な雰囲気があります。
ラングワートの楽しみ方
お花のサラダなどエディブルフラワーとして
ラングワートの花を、春に咲く菜の花、プリムラ、ビオラなどとともにサラダにちらし春のサラダを楽しみましょう。
庭の日陰のグランドカバーとして鑑賞してもよし、春の美しい青色の花を摘んで、エディブルフラワーとしてスイーツや飲み物などを飾っても楽しめます。
参考文献
「ハーブの写真図鑑」日本ヴォーグ社
「ハーブの図鑑」池田書店
ブログ著
鈴木さちよ
ブログ監修
管理栄養士 坂本禮子