いつも傍らでそっと心や体を癒してくれる「タイム」

タイムは卵形の小さな葉を枝につけ、どの季節にも収穫することができるもっとも愛すべきハーブのひとつです。
タイムは、春先の2~3月に剪定を行います。フランスでは肝臓の浄化にも使われており、温熱作用もあることから冬に溜め込んだ毒素を出し、寒さを追い払う のに利用されてきました。この時期は、暖炉の火付け材として、スチーマーの香り付けとして、さらに入浴剤として剪定した枝を贅沢に利用しましょう。

タイムの語源はギリシャ語のthymos「勇気」から来ているという説もあります。騎士の時代のギリシャの貴婦人達は、勇気の行動の印として、タイムの小 枝の上を飛ぶ蜂の図をスカーフに刺繍し、戦いに赴任する騎士達を勇気づけるために送ったそうです。気分がふさいだとき、小さな枝を手にとるだけで元気をも らえるような気持ちになれます。 昨今では、タイムは脳を強化し寿命を伸ばす働きがあるともいわれています。

多くの薬効と歴史に裏付けされたタイムは家庭の薬箱に必ず常備したいハーブです。私たちのハーブガーデンにも20種類ほどのタイムがあります。色も姿も 様々で季節ごとに葉色が変化しますから、名札を付けないと覚えきれません。庭の通路や石垣の間にその存在を見つけながら歩くのも楽しいものです。

代表 鈴木さちよ

タイムが香るバター

収穫したタイムの枝から生のままの葉を外し軽く刻んで、室温で柔らかくなったバターに練り込んでパンや料理に利用します。
同じように生の刻んだ葉をオリーブオイルに混ぜて利用しても美味しくいただけます。お好みで塩を添えてください。乾燥した葉でも利用は可能です。葉やバターの量はお好みで…。

タイムの入浴剤

鍋にタイムの刈り取った枝を贅沢に入れて濃く煮出します。この抽出液をお風呂に入れて入浴します。温熱作用や発汗作用があり冷えた体を温め、呼吸器にも作用してくれます。お好みで他のハーブや日本酒や粗塩をいれても楽しめます。

~その他の利用~
消化不良、消化促進、気管支炎、肺炎、胸膜炎、感染症から生じる咳、上気道カタル、喉の痛 み、二日酔い、風邪やインフルエンザの感染予防、喘息症状や百日咳の緩和、血液の循環促進、筋肉痛やリウマチ痛の緩和、温熱発汗、生殖器官活性、カンジ タ、膀胱炎、卵管炎、尿生殖器の感染症、利尿剤、尿閉や尿道の感染症、こどもの神経過敏不安から生じる咳、痛風、胃腸炎、過敏性腸症候群など、非常に多く の用途に利用されています。

3月のハーブ:タイム

和名:タチジャコウソウ
学名:Thymus vulgaris
別名:コモンタイム
原産地:地中海沿岸
分類:シソ科/耐寒性 常緑低木
花ことば:勇気

特徴:
高さ10~30cmほどの常緑低木、初夏に薄紫色の小さな花をつけミツバチをよびます。日当りや水はけのよい乾燥気味の場所を好みます。様々な葉色や樹形のものがありますが料理や薬用に利用するのは立ち木性のコモンタイムがおすすめです。

利用:
ハーブの中でも強い抗菌力を持ちます。抗菌作用、鎮痙作用、去痰作用、鬱帯除作用、駆風作用、抗酸化作用、収斂作用、温熱作用、発汗作用等非常に多くの薬効を持ちます。
呼吸器系や消化器系にはチンキやハーブティーとして利用し、筋肉や外用にはシップや軟膏、入浴剤にして利用することができます。精油も非常に抗菌作用があり幅広く利用できます。
また、料理に加えて風味付けや脂肪の消化促進をはかることもできます。
※妊娠中、授乳中、高血圧の方は長期の使用、多量の使用を避けてください。

参考:
「オーガニック図鑑」ジェッカ・マクビカー著/文化出版局 、「心と体に効くハーブ読本」佐々木薫著/PHP 、「ハーブ大全」リチャード・メイビー著/小学館 、「ハーブ学名語源事典」大槻真一郎、尾崎由紀子/東京堂出版 、「フラワー療法事典」アン・マッキンタイア/産調出版

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