救民妙薬のハーブ紹介vol.2『クルミ』
クルミの原産地はイラン、中国、日本、北米などといわれており、その歴史は古く、日本でも縄文時代から利用されてきた落葉高木です。硬い仮果(かか)で覆われた内側の種子(仁)の部分を食用や薬用とします。
生薬としては「胡桃仁」(コトウニン)と称して、咳止めや乾燥からくる便秘の改善等に用いられています。また、中国では形が脳に似ていることから脳の働きを活発にするといわれてきました。
近年の書物にもクルミはオメガ3脂肪酸、ビタミンB1、E、マグネシウム、グリセリドなどを含むとあり、体を温め、腎を補う作用があり、腎の機能低下によって起こる体力不足、疲労、腰やひざのだるさ、腰痛、脱毛、白髪、耳鳴り、頻尿、インポテンツ、月経痛などの改善に良い食材として紹介されています。マグネシウムや良質の脂肪油により胃の働きがよくなり、便秘、神経過敏症が治り安眠できるようになり、不眠症やノイローゼを癒す効果もあるとも記載されています。
毎日2〜3粒程度、少しずつ食べるのが理想的です。
クルミは秋の終わりに収穫されます。私たちの庭では植えてからずいぶん長い間実をつけずにいましたが、2年前にひとつ実がなり、昨年は30個ほどの実を収穫することができました。
げんきんなもので、効能を知るとますます沢山の実がなることを期待してしまいます。
クルミの楽しみ方
クルミ丸
<材料>
干生姜、クルミ、杏仁・・・適量
はちみつ ・・・適量
<作り方>
干生姜、クルミ、杏仁を粉にして はちみつ をたらして練り丸めたものを就寝前に白湯などで飲みます。
※クルミだけを利用してすり鉢などで粉にして、 はちみつ をたらしたものを上記のように飲用、又はクルミあえやクルミ味噌として料理などに利用しても良いでしょう。
※クルミの仁の脂肪油は殻を剥いてしまうと酸化してしまうので、殻付きのものが理想的です。
クルミの鈴
<材料>
クルミの仮果(外側の硬い殻の部分)
ムクロジの種子
麻紐、木工用ボンド
<作り方>
クルミの仮果をスジにそってナイフなどを差し込み二つに割ります。中の仁の部分や薄皮を出しきれいに掃除をして中にムクロジの種子(他の硬い種子や小さな鈴などでも可)を入れて、合わさる断面に木工用ボンドを付けもとどおりに貼り合わせます。その際吊るせるように麻紐を結んだ部分を中に入れて貼り合わせて出来上がりです。
救民妙薬では
痰の薬として、干姜胡桃粉にして用いる、又は胡桃すり潰し、蜜でねり毎日白湯にても用いると記載されています。
晩秋に掘り上げた生姜を乾燥したものを、干姜もしくは乾姜というそうです。
救民妙薬とは?
「水戸黄門様」として知られる水戸藩2代藩主・徳川光圀公が藩医穂積甫庵(ほづみほあん)に命じてつくらせた日本最古の家庭療法本(1693年)。
手帳ほどのサイズで、中風の妙薬にはじまり、酒毒・蛇咬(へびくい)・痔・しもやけ・虫歯・頭痛・脚気・腹痛・おこり(マラリア等の熱病)等、手軽に入手できる薬草を主に用いる処方397種が130項にわたって平易な言葉で記載されており、明治・大正まで続くロングセラーとなりました。
参考文献
「薬草の自然療法」池田書店 東城百合子著
「いつもの食材漢方効能&レシピ帖」つちや書店 早乙女孝子著
「自分で採れる薬になる植物図鑑」柏書房 増田和夫監修
「食事と栄養の科学大図鑑」河出書房新社 リアノン・ランバート著
「救民妙薬注解」水戸市医学会史編纂委員会
ブログ著
鈴木さちよ
ブログ監修
管理栄養士 坂本禮子