香り高い食卓の名脇役『ミツバ』
学名が「日本の」という種小名がついた“Cryptotaenia japonica Hassk”、別名“ミツバゼリ”と呼ばれるミツバ。日本や近隣アジア原産とされます。
▲自生するミツバ
現代では、ミツバはスーパーの野菜コーナーで見つけるものといった印象もありますが、元来は日本各地の山地に自生している野草です。江戸時代から栽培されるようになり、一般的にも食べ始められたと考えられています。
ミツバの旬は春から初夏にかけてです。採取できる期間が比較的長く、古くから日本の食卓の名脇役でありました。お吸い物や丼もの、茶碗蒸しなどの仕上げの飾りとしても利用される存在です。蓋のついた料理では蓋を開けた時に香るミツバの爽やかな香りに心を揺さぶられる人も多いでしょう。
春の野草に多い、解毒、血行促進、消炎、抗酸化、健胃、鎮静作用を持ち、神経の興奮を鎮め、ストレス解消や二日酔い、デトックスなどの効能を持ちます。冬から春への気候の変化や環境の変化で何かと緊張やストレスを感じやすい時期、献立にミツバを取り入れて役立てるのは日本人の知恵なのかもしれません。
ミツバの楽しみ方
ミツバのおひたし
<材料>
ミツバ 適量
<作り方>
ミツバをさっとゆがいて、素早く冷水にくぐらせ粗熱をとり、水気を絞っておひたしにします。お好みの大きさに切って、醤油やポン酢などお好みの味付けでいただきます。ミツバの香りを消さないように、味付けは薄めの方が良いでしょう。
セリや春菊、もやしやシメジなどとあわせて和え物にするのもおすすめです。
干しミツバ
全草を陰干しにしたものは「鴨児芹(オウジキン)」とう生薬になります。
乾燥した全草を煎じて服用します。
ミツバの栽培
栽培したくても、苗をホームセンターなどで見つけるのは難しいのがミツバです。そんな時はスーパーで根付きミツバを購入して茎を5センチほど残してカットし、水栽培やプランター栽培に挑戦してみましょう。
庭に下ろす時は日陰で湿った場所が向いています。うまく庭で繁殖し始めると、必要な時にミツバを一年中採取することができるようになるかもしれません。苗としては黒い葉の品種のミツバも出回っています。青い種類と同様に利用できます。
山で採取する場合はよく似た毒草もあるので注意が必要です。
▲ミツバの花
参考文献
「ハーブのわかる事典」ナツメ社
「和ハーブ図鑑」一般社団法人和ハーブ協会
ブログ著
鈴木さちよ
ブログ監修
管理栄養士 坂本禮子