廃棄される陶器や着物生地などを
生まれ変わらせる”OriginalZakka月”

[私たちの見つけた本当にいいもの]第5回目は、廃棄される陶器のかけらをアクセサリーとして生まれ変わらせたり、着物生地などで布雑貨を制作している“OriginalZakka月”の中野智子さんにお話しをお伺いしました。

写真左:ご主人で陶芸家の中野明彦さん 写真右:”OriginalZakka月”中野智子さん

 

― まずは“OriginalZakka月”を始めたきっかけを教えてください。

中野さん:元々はバリ雑貨を販売する店舗を運営していたんですが、店舗のスペースが思いがけず広く、スペースを埋めるために、昔から得意だった手作りのアクセサリーや雑貨を制作して販売し始めたのがきっかけです。
でも始めてみたらバリ雑貨よりそちらの方が評判が良くて、有難いことにお客様からオーダーを受けることも多々あり、それが自信となり今に至ります。
現在は、自宅でアクセサリーや布雑貨を制作し、イベントやネットで販売するスタイルで活動しています。

 

 

― 陶器のかけらをアクセサリーにしようと思ったのは何かきっかけがあったのですか?

中野さん:夫が陶芸家なのですが、以前住んでいた家で火災が起こり、使っていた窯や釉薬のレシピも全て無くなってしまったことがあったんです。

今の家に急遽引っ越しをして、全て一からリスタートしたのですが、窯に入れた時に陶器の釉薬の色が上手く出なかったりして、窯で焚くたびに山のように廃棄処分品が出てしまって。

ゴミがたくさん出るということへの罪悪感もありますし、夫の心もどんどん疲弊していき、何か再利用できないかと考えていた時に、ちょうど金継ぎのワークショップに参加させてもらったことがヒントになりました。

初めは陶器同士を金継ぎ加工をして繋いで箸置きを作ったのですが、夫からは「全然良くない」と辛口の意見をいただきまして(笑)
陶器同士を繋がずに、陶器のかけらの1ピースをアクセサリーにしたらどうかなと思い制作してみたら、お客様の反応がとてもよくて、嬉しいお声をたくさんいただきました。

 

―大変なご苦労の上に、ご主人と二人で編み出された作品だったのですね。

アクセサリー用にストックされている陶器

中野さん:夫も一時期は疲れ切ってしまっていたのですが、自分の陶器を再利用できるということも、アクセサリーの評判が良いことも全部プラスに考えて、失敗が怖くなくなり、新しい色にも積極的にチャレンジするようになりました。前は『窯を開けるのが怖い』と言っていたのですが、今は失敗したらニコニコして『アクセサリーの材料ができたよ』と持ってきてくれます(笑)。

ご主人の陶芸家中野明彦さんの工房

 

― ”OriginalZakka月”では和風の布雑貨も制作されていますが、コンセプトはございますか?

中野さん:“さりげなく伝統を守るアイテム”というコンセプトで制作しています。ワーキングホリデイでオーストラリアに行った際に、伝統や文化があるのは当たり前ではないのだなというのを実感しました。日本から離れ、日本の伝統や文化の魅力を再認識したことで、何か自分なりに伝えられたらいいなと思い制作しています。

生地は着物をほどいて使うこともあれば、生地を買ってきて制作することもあります。
どのような生地を使用したかはタグで分かるようにしていて、銀の月のタグは新しく購入した生地で、金の月のタグは着物や帯などを使用した生地というように、金の月はちょっと特別なものというようにしています。

布選びは、少しクスッとするような楽しくなるような柄だったり、今のファッションにも馴染むような布を選ぶようにしています。
和柄にはそれぞれ意味があるので、販売する際に、柄の意味をお伝えしてお客様とお話するのも楽しいです。

アクセサリーや布雑貨を制作しているアトリエ

 

―和柄だと海外の方にも人気がありそうですね。

中野さん:海外からの旅行者の方が、日本のお土産ということで購入してくださることもあります。意外と若い方で和柄が好きだと仰ってくださる方も多いですね。

― 布雑貨はどのようなものを制作されているんですか。

中野さん:バックやポーチ、キーホルダーなどです。陶器のアクセサリーもそうですが、お客様が身につける布雑貨を作るようにしています。
あと3人以上のお客様から同じようなことを言われたら作ることにしています。
イベント出店で初めてお会いするお客様からもよくリクエストをいただきます(笑)
例えば「バッグの両側にペットボトルが入るバッグが欲しい」とか、「ポイントカード入れで、カードの一軍二軍に分けられてパパっと取り出せるのが欲しい」とか、そういったお話もヒントにさせていただいて制作しています。

バッグの中でも取り出しやすいよう紐をつけたティッシュケース

着物地クラッチバッグ。鳥の羽には『飛躍』や『上昇』という意味がある

 

―制作する上でこだわっている点はございますか?

中野さん: “使いやすさ”ということをすごく意識して制作しています。
私は基本的に使いにくいものがすごく嫌いなので、例えば、見た目が気に入って購入したのに実際使用してみると使いにくい、というようなことにならないよう、機能的で軽くて体に負担がないものを制作するようこだわっています。自分が買いたいと思うレベルになるまで試作品を何回も作り、納得したものだけを販売しています。

 

―今まで活動されてきた中で、思い出深い出来事はございますか?

中野さん:男性のお客様から「ショップカードを多めに欲しい」と言われた時がありまして。それはなぜかというと、そのお客様が散歩したり買い物しているときに、全然知らない通りすがりの人からアイテムを褒められるので、ショップカードを渡して紹介したいということだったんです。その時はすごく嬉しかったですね。

取材時に出していただいたお茶の陶器とコースター。コースターはご主人が制作されたこの陶器に合わせて制作したとのこと

―知らない人でも思わず「素敵だね」と声をかけたくなったんですね。褒められると紹介したくなりますね。

 

中野さん:その男性のお客様も、ご自身に似合うものを素敵にご使用いただいていたからだと思うのですが、とても嬉しかったですね。

お客様が身に着けるアクセサリーや布雑貨を制作しているので、私が作ったもので、お客様が誰かから褒められたり、その方の自信になったり、またそのことでよりお客様が素敵になるお手伝いが出来ているかと思うと、とても嬉しく思います。

 

中野さんのご自宅の軒先には、よく遊びに来るという猫の親子がいて癒されました

 

取材:鈴木ハーブ研究所 雨谷、高橋

“OriginalZakka 月”について

下記で商品の販売や、情報を発信しています。

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