泡立つ果実、縁起の良いハーブ『ムクロジ』
ムクロジ科ムクロジ属の高さ15メートルほどになる落葉高木です。学名をSapindus mukorossiといいます。この「Sapindus」は「インドの石鹸」という意味があり、果皮にサポニンを含み泡立ち、石鹸と同じように洗濯などに用いて汚れを落とすのに使われていたことに由来しています。江戸時代の後期の『本草綱目啓蒙』の「石鹸」の項には「無患子の皮もシャボンと言う」とあるそうです。戦争中は病院の庭にこの樹木が植えられ実際洗濯に利用されていたそうです。

ハーブガーデンのムクロジ

落葉すると黄褐色の果実が目立ちます

ムクロジの果皮はサポニンを含み、洗濯に使われていました
ムクロジの果皮の中には黒い種子があります。この種子にまつわる話をご紹介しましょう。
昔中国で国難があった際に救済を訴えたところ、釈迦が「無患子の種を108つ連ねて環にして念仏を唱えるごとにこの玉をひとつ動かし、100万遍念仏を唱えれば罪障を除き煩悩を断ち切ることができるでしょう」と語ったというのです。これが数珠の発症と言われています。似たような種子でムクゲンジの種子もその一つと言われていますが、実際硬くて適度な大きさで黒檀のような光沢のあるムクロジの種子の方が数珠に向くといわれています。

ムクロジの果実:中に黒い種子が入っています
また、「羽根つき」の羽子板と追羽根を「胡鬼板(こぎいた)」「胡鬼の子(こぎのこ)」と呼び、正月に贈答する風習があったそうです。宮中女官日誌『御湯殿上の日記』の永禄四年正月二日の記事に「御こきいた・御こきのこ・御扇を若宮の御所に贈る」とあります。また、室町幕府の書にも御所への新年のみやげは「こぎ板・こぎのこ」と記されています。「こぎのこ」はムクロジの種子に羽根を付けたもので、幼児が蚊に刺されない呪い(まじない)であると室町後期の『世諺問答』に記されています。ムクロジに「無患子」という文字を当てたのも、「子どもに患いが無いように」との願いからなのでしょう。

ムクロジの黒い種子は羽根つきの羽根に用いられます
念仏やまじないに利用されていたムクロジは、縁起の良い樹木としても親しまれてきたようです。
ムクロジの楽しみ方
泡立て実験
11〜12月ごろから枝に実る果実が落ちてきます。その飴色の果実から黒い種子を取り去り果皮を陰干ししたものを「延命皮」といいます。この延命皮をペットボトルなどに入れて水を注ぎ入れ何回かシャカシャカ振ります。すると細かい泡が立ち、その泡で布などを洗うことができます。同じように布袋にこの果皮を入れて水をつけて揉むと泡立つので、洗濯などに利用することができます。


ムクロジの果皮を泡立てて洗濯に使えます
注意:果皮に含まれるムクロジサポニンには溶血作用があり、胃腸のただれや腹痛を起こすことがあるので飲食はしないでください。
*ご挨拶*
2026年(令和8年)新たな年、今年はどのような出会いがあるのでしょうか。本年弊社は創業22年となりますが、まだ見ぬ新たなステージへのチャレンジを忘れず今年も一歩一歩精進していこうと思っています。支えてくださっている皆様のご多幸とご健康を心よりご祈念申し上げます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
鈴木さちよ
参考文献・URL
「有職植物図鑑」八條忠基 平凡社
「自分で採れる薬になる植物図鑑」増田和夫監修 柏書房
ブログ著
鈴木さちよ
ブログ監修
管理栄養士 坂本禮子

