浄化と魔除けのハーブ『ジュニパー』
ジュニパーは別名セイヨウネズともいい、コニファー類に分離され、原産地は北半球の温帯地域、ヨーロッパ、アフリカ北部、アジア北部、北米などに広く分布しています。学名はJuniperus communis L.で、属名のJuniperusはジュニパーのラテン語古名。種小名のcommunisは「普通の」という意味からなっています。


ハーブガーデンのジュニパー
ジュニパーはジンなどの香りづけに使うジュニパーベリーで知られています。実の見た目は胡椒を大きくしたような黒い球体の形で、はじめは緑色の実が2〜3年かけて黒色に成熟します。雌雄異株で雌株にのみ実がなります。


ジュニパーの果実

果実はジンの香りづけに使われます
紀元前1550年ごろ、古代エジプトの医学書『エーベルス・パピルス』に薬としての処方が書き残されています。様々な病気に効果がある万能薬として利用されていました。ヨーロッパでは魔除けの力を秘めた木として、ジュニパーの小枝を焚くと邪悪な疫病から守ってくれると信じられ、寺院などの儀式で使われていました。フランスでは、病院内の空気を浄化するために焚いていたそうです。聖書にも保護の象徴として描かれており、聖母マリアは幼いイエスをこの木の後ろに隠し、ヘロデ王の追っ手からエジプトへ逃れることができたと記されています。アメリカ先住民は球果を煮立てて、風邪の治療薬に用い、葉をお香として焚いていました。日本でもネズミサシという種が自生していて、昔から果実を和漢薬として利用していました。
注意:妊婦、腎臓疾患のある人は使用を避けましょう。
ジュニパーの楽しみ方
ジュニパーベリー風味のオーブン(フライパン)焼き
ジュニパーの球果はつぶして鹿肉やジビエ料理に用いられ、魚料理やマリネ、パイなどにも利用されます。
家庭ではラム肉などにつぶした球果と塩コショウをまぶしてオーブンやフライパンで焼き上げてみましょう。キノコやピーマンなどを一緒に焼き上げるのもおすすめです。お肉を一口大に切って炒め煮のようにしても美味しくいただけます。


ラム肉のジュニパーベリー風味炒め煮

ジュニパーの球果 つぶして利用しましょう
秋鮭が美味しい季節ですから鮭を利用してみるのもいいでしょう。
こちらはラム肉とジュニパーベリーの炒め煮です。
ジュニパーベリーティー
食欲不振、むくみを改善し、代謝が良くなるとされています。紅茶やお好みのハーブティーなどに加えてみましょう。球果なので長く抽出時間をおくか、少しつぶして利用しましょう。
抗菌作用や抗炎症作用があるので風邪の時期にもおすすめのブレンドティーになります。

ジュニパーベリーティー
参考文献・URL
「ハーブの写真図鑑」日本ヴォーグ社
「ハーブのすべてがわかる事典」ナツメ社
ブログ著
鈴木さちよ
ブログ監修
管理栄養士 坂本禮子

