アーユルヴェーダ伝承の万能ハーブ『ニーム』

ニームは水はけの良い土壌、高温で乾燥した気候で育つ、樹高20mほどになる常緑樹です。インド、スリランカなどの南アジア、中南米などの熱帯地方に自生しています。学名はAzadirachta indicaシノニム:Melia azadirachtaで、別名Margosa、ニームツリー、インドセンダンともよばれます。

ニーム

ジャスミンにも似る小さくて白い花は非常に甘い香りがします。果実の色は黄色から緑色で、中に入っている種子は白く、熟すと油が採れます。葉には鋸歯があり、非相称形で照りのある小葉で、干ばつの時以外は、緑色を保っています。地中深く根を伸ばし、成長が速く、やせた土地でもよく育ち、生命力が強く活発に芽を出します。このため、原産国のインドでは収益の上がらない土地の再植林計画に、ニームの木がよく活用されるそうです。

ニームの利用部分は花、葉、樹皮、幹、根、油、種と多岐にわたり、ほとんどの部位に薬効があることから「村の薬局」ともいわれ、この植物が自生する地域では様々な目的に用いられ生活に欠かすことができない植物となっています。また、伝承医学「アーユルヴェーダ」でも重宝される植物です。スリランカの正月にはニームの葉と黒糖を煮込んだものを食するそうです。

ニームの葉

ニームの葉

種から採った油やエキスはハンセン氏病やその他の皮膚病の治療に用いられ、発がん物質を抑制する働きや、抗真菌・抗ウィルス作用を有します。近縁種のチャイニーズパゴダツリー(トウセンダン)の干した果実は、漢方では皮膚の寄生虫の治療薬に用いられました。
樹皮、葉、根には、強壮・解熱作用があります。枝は歯磨き、歯周病治療に利用されます。
葉には抗マラリア薬、湿疹等の治療に利用されます。また、殺精作用のある種子は、安全な男性用避妊薬になると考えられています。

さらに、ニームは殺菌・駆虫作用があり、細菌、およびバッタやダニなどの200種類以上の害虫を撃退するといわれ、農業・園芸分野では環境に負荷をかけない殺虫剤として活用されています。日本でも近年多くのニームを原料とした農業資材が販売されています。

ニームを原料とする農業資材

ニームを原料とする農業資材

 

ニームの楽しみ方

観賞用として虫除けとして

高温で乾燥した気候が自生地のニームは、近年の灼熱の暑さの日本でも力強く育てることができ、観賞用としても窓辺や玄関の近くに置いて虫除けにもできる優れものです。寒さには弱いので冬は室内のあたたかい場所で防寒をして冬を越して下さい。成長が早い木なので大きくして室内インテリアとして飾っても素敵です。
ちなみにうちでは冬の寒さをうまく超えられずに何度か枯らしてしまいました。今回また小さな苗木を購入して栽培の挑戦をしています。

 

参考文献・URL

「ハーブの写真図鑑」日本ヴォーグ社
ichimaru.co.jp

ブログ著

鈴木さちよ

ブログ監修

管理栄養士 坂本禮子

インスタグラムでもハーブ、庭作り、身近な植物などについて発信しています

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ハーブ事典でもこのハーブをご紹介しています

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