心を静める気高い香り『フランキンセンス』
フランキンセンスの学名はBoswellia carterii、科名分類はカンラン科の常緑小高木です 。最古の香料のひとつで、古くから神仏の捧げ物としてや宗教儀式などで薫香として使用されてきたハーブです。
別名をオリバナム(olibanum)と言い、樹皮を傷つけると白い樹液が滲み出ることから、和名は乳香(ニュウコウ)と名付けられました。別名のオリバナムも語源はアラビア語のミルクから派生して呼ばれるようになったと言われています。白い樹液は空気に触れて固まり、黄色い固体となります。英語名のFrankincenseは中世ラテン語のfrancus(良質の)incense(香煙、芳香)やラテン語のincendere(燃え上がらせる)、cf.incensum(神に捧げる薫香)から名付けられたと考えられています。
この植物の原産国は紅海地方~アフリカ北東部と、日本からすると気候も違う遥かなる地の植物です。日本では冬を越えることは難しく、なかなか樹木を見ることはありません。以前伺った岐阜県の「内藤記念くすり博物館」で貴重なフランキンセンスの木を拝見したことがありますが、この木を見るために遠くからも見学者がいらっしゃるとお聞きしました。
スパイシーで奥深いウッディ調の香りはイライラなどの心の乱れを静め、気分を穏やかにし、呼吸を深め、静かな精神状態をもたらしてくれ、「天上の香り」とも呼ばれています。この樹皮から取れる精油は「若返りのオイル」とも言われています。乾燥や肌荒れなどの皮膚トラブルにも優れた効能を発揮するためエイジングケアに良い精油とされています。
旧約聖書にはキリスト誕生の際、東方の使者が持参した貢物の3つのうちのひとつとして記されています。
フランキンセンスの楽しみ方
薫香
薫香用の炭に火を付け、専用の容器や灰の上に置き、樹液のかたまりを乗せます。炭の熱で樹液塊が炙られ煙が立ち始めます。初めは広い部屋や屋外で試し、どのくらい煙が出るのか、香りが立つのかを試してから室内で利用しましょう。煙が立ち過ぎる時は、炭の上からかたまりを下ろしてください。
浴用として
粗塩100gもしくはバス用オイル(ファーナス油)にフランキンセンスの精油を5~10滴入れ混ぜ合わせてから浴槽に入れます。ぬるめのお湯で耳の下まで湯に浸かりよく温まってから就寝するとぐっすり眠ることができるでしょう。
ご挨拶
2025年(令和7年)がスタートしました。慌ただしい年末年始を過ごして疲れが溜まったままのスタートになっていませんか?日々の疲れをリセットして今年も元気にあなたらしく目の前の事に集中し、充実した毎日を送りましょう。昨年は日本の薬用植物を紹介してきましたが、今年は日本を飛び出して世界のハーブを紹介しようと思っています。今年も一年よろしくお願いいたします。
鈴木さちよ
参考文献
「New Herbal ハーブ大全」リチャード・メイビー著 小学館
「ハーブ学名語源事典」大月真一郎、尾崎由紀子 東京堂出版
「ケモタイプ精油小事典version2」NARD JAPAN
ブログ著
鈴木さちよ
ブログ監修
管理栄養士 坂本禮子