端午の節句でおなじみの『ショウブ』
今回は、『救民妙薬』には記載されていないのですが、日本ではこの季節(5月)に古くから利用されてきたハーブである「ショウブ(菖蒲)」をご紹介します。
ショウブは古くより縁起の良い植物とされ、5月5日の端午の節句に葉をお風呂に入れて菖蒲湯に利用される多年草です。菖蒲湯は、身体を温め腺病質(虚弱体質)に良いとされたことから、子供の健康を願って行われるようになりました。
ショウブは各地の池や水辺などの湿地に自生し根茎は多節で太く横走します。この根茎の頭部から葉が向かい合うように直立して叢生し、葉は線形で長さ40〜150センチ、幅2〜3センチで強い芳香を持ちます。アヤメと葉の形などが似ていますが別の種類の植物です。また、よく混同されがちな「ハナショウブ」はアヤメの仲間で、ショウブとは別物です。
ショウブには鎮静、鎮痛、鎮痙、鎮咳、去痰、血圧降下などの作用があり、食欲を促進します。慢性の消化不良、胃炎、腹痛、せき、健忘症、ヒステリーなどに用いられました。また、神経痛やリウマチなどにも浴用として利用されました。
現代でも、子供の日が近づくとスーパーマーケット等でショウブが売られているのを見かけます。お風呂の湯舟に長いショウブを何本か束ねて浮かべ、葉を触って香りを楽しみながら入浴します。その時々の薬草でお風呂に入ると、季節を肌で感じることができて良いものです。
社内のハーブガーデンでもショウブを育てていますが、この10年間でずいぶん増えました。栽培していればいつでも利用でき、とても便利です。皆様もぜひショウブを育ててみて下さい。
ショウブの楽しみ方
ショウブ湯
<材料>
ショウブの根茎
ショウブ湯には普通、葉の部分を利用しますが、神経痛やリウマチなどには根茎を浴湯料として利用します。根茎を堀り採り、水洗いしながらひげ根を取り除き、日干しにして乾燥させたもの(ショウブコン、菖蒲根)を刻んで布袋に入れ、適量の水で煮沸後、煮汁とともに浴槽に入れます。
参考文献
「自分で採れる薬になる植物図鑑」柏書房 増田和夫監修
「くらしの野草と漢方薬〜ハーブ・民間薬・生薬〜」新日本法規
ブログ著
鈴木さちよ
ブログ監修
管理栄養士 坂本禮子