繊細な葉と花が美しい万能薬『ヤロウ』
ヤロウは学名をAchillea millefolium L. 、和名をセイヨウノコギリソウというキク科の多年草で、古くからヨーロッパ、北米、アジアなどに広く分布する植物です。
ヨーロッパでは、世界遺産の遺跡があるような広場や野原でも見かけることがあるほどありふれた野草です。日本には1887年(明治20年)に渡来し小石川植物園で栽培されました。
ヤロウは紀元前から修道院や家庭で万能薬として用いられてきました。消炎、鎮静、鎮痙、健胃、利胆、抗菌、収斂、止血、創傷治癒、発汗、解熱など様々な作用を持ち、食欲不振、消化不良、胃アトニー、胃炎、生理痛、難治性外傷などに利用されてきました。
また、血止めなどの血液に対する治療に用いられたことなどから「生命の本質」に影響を持つとみなされていました。そのため負の精力(エネルギー)や災いから身を守ると信じられており、魔除けとして用いられました。また、愛のお守りになるとも信じられており、民間伝承では若い未婚の女性がヤロウを枕の下に置き願いをかけると未来の夫の夢を見ると言われていました。
細かい羽のような切れ込みが入った羽状葉が美しく、5〜6月頃花茎が立ち上がり、小さな花がかたまりになって咲きます。あらゆる環境で育ち、匍匐状に広がって行きます。広がり過ぎないように芝止めのような境をもうけるのがおすすめです。
品種改良が進み、赤やピンク、黄色、オレンジといった様々な花色や八重の花も見られます。薬用には白色の花の品種を用います。
キク科アレルギーの人、妊娠中の人は使用を控えましょう。また、一度に多量摂取すると頭痛やめまいを起こす場合もあるとされていますので、少量ずつの利用をおすすめします。
ヤロウの楽しみ方
若葉のサラダ
若い葉は生のまま細かく刻んで少量をサラダに加えます。または、茹でた葉の水気をしぼり一口大に切り少量をお浸しやサラダに利用します。他の野菜と混ぜたり、茹でたシメジなどのキノコと和えても美味しくいただけます。味付けはお好みでゴマ味噌和えなどにしてもオススメです。
ハーブティー
葉と花のハーブティーは消化促進作用、強壮作用があります。ペパーミントとエルダーフラワーを混ぜると、伝統的な風邪対策のティーとなります。
花が咲いた頃、天気の日が続いた日中に葉と花を刈り取り、風通しの良い場所で完全に乾燥させ、密封瓶などに乾燥剤を入れて保管し利用します。
参考文献
「ハーブのすべてがわかる事典」ナツメ社
「ハーブの図鑑」池田書店
「花のもつ癒しの魅力 フラワーヒーリング図鑑」産調出版
「ハーブ学名用語事典」東京堂出版
「メディカルハーブの事典」東京堂出版
ブログ著
鈴木さちよ
ブログ監修
管理栄養士 坂本禮子