毒を消し難を転じる縁起木『ナンテン』
2023年、お陰様で新しい年が明けました。
お正月のお屠蘇やおせち料理には日本文化の沢山の伝統や伝承が詰まっています。
今年も身近な植物にも目を向けながらブログを書いていこうと思っています。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
ナンテン(南天)とは、「南の空」「南天竺(ミナミテンジク)」の略として名付けられ、“難を転じる”という語音から縁起の良い木とされ、生垣や庭木としても親しみのある常緑低木です。日本で自生するものの起源は中国からの渡来種が野生化したものと考えられています。
日本では昔、家を建てる際に北東と南東が鬼門(注意すべき方位)とされ、その方位に水場や火を扱う場所がある場合鬼門除けとして建物の外側に難を逃れるためにナンテンを植えるという風習もあったようです。
秋から冬にかけて球形の果実が赤(又は白)く熟し、古くから毒消しの作用があるとされ、料理や赤飯に葉を添えものとして用い、木目が細かく芳香のある木部は箸の材料として利用されてきました。このように縁起の良い存在として生活のシーンに多く用いられてきた植物といえるでしょう。
12月〜翌年3月にかけて熟した果実を採取し、日干しにしてこれを「南天実(ナンテンジツ)」と呼びました。又、8〜9月ごろ葉を採取し、日干しにしたものを「南天葉(ナンテンヨウ)」とよび生薬として利用しました。咳止め、扁桃炎、うがい剤、酒の悪酔い、乗り物酔い、湿疹、かぶれ、ただれなどに用いられました。白色のナンテンの実が貴重で効能が高いという言い伝えがありますが、これは迷信で色による効用の違いは確認されていません。
ナンテンの楽しみ方
ナンテン果実茶
<材料>
ナンテンの果実 10~15g
水 カップ3(600mL)
<作り方・用い方>
水に日干しにして乾燥させたナンテンの果実を入れ煎じます。半量になるまで煎じて3回に分けて食間に服用します。子供に用いる場合はナンテンの量を3分の1程度に少なくし、砂糖や蜂蜜などで甘みを付けて服用するかうがいをします。
ナンテン入浴剤
ナンテンの葉を日干しにして乾燥させたものを適宜(多めに)木綿などの布袋や洗濯用の目の細かいネットなどに入れ、湯船に入れ浴剤として用います。
参考文献
「自分で採れる薬になる植物図鑑」柏書房
「長寿への道・薬草健康知恵袋」水戸藩薬草農園研究所 福島達三著
「救民妙薬注解」水戸市医師会会史編纂委員会
「ハーブ写真図鑑」日本ヴォーグ社
ブログ著
鈴木さちよ
ブログ監修
管理栄養士 坂本禮子