まるごと食べつくしたい『ダイコン』

地中海沿岸から中央アジアが原産地のダイコン。日本には弥生時代に中国から朝鮮半島を経て伝えられたといわれています。春の七草の一つでもあり、日本人が昔から食べてきた代表的な根菜でもあるダイコンの利用について、お話ししたいと思います。

ダイコンを収穫せずに放置すると、やがてとうが立ち、花が咲き結実します。その種を天日干しにしたものは、生薬の「萊菔子(ライフクシ)」となり、発汗、解熱、鎮咳に用います。また、地下部(根)には消化酵素のジアスターゼが多量に含まれており、胃もたれや二日酔いにすりおろしたものを湯で割って飲用します。すりおろしたものは打ち身やねんざの冷湿布としても利用できます。また、葉は陰干しにしたものを浴用剤としてお風呂に入れると、冷え症や神経痛の緩和に役立ちます。

今年はダイコンが特に豊作で、値段がつかないほど安くなっているようです。畑に埋めて処分してしまうなどと報道もされていました。せっかくの旬の作物ですから保存食の千切り大根として利用するのもひとつです。

栄養豊富なダイコンを細く薄く千切りにして天日に干した「切り干し大根」は、生のダイコンと比較するとカルシウムが20倍、カリウムや食物繊維も15.2倍。乾物のままであれば、半年から1年と長く保存ができます。

切り干し大根には不溶性の食物繊維である「リグニン」という成分が含まれています。「リグニン」は、便の量を増やして、腸のぜん動運動を促進して、便秘改善に効果をもたらします。コレステロールの排出も促してくれるので動脈硬化の予防も期待できます。

ダイコンの楽しみ方

ダイコンをまるごと食べつくす【部位ごとのおすすめ調理法】

【葉の近く】辛味が少なく甘みがあるので生でサラダなどに利用するのが適しています。

【中ほど】漬け物、おでんや鍋などの煮物に向いています。

【先端部】辛味が強いのですりおろして薬味に利用すると良いでしょう。

【葉】ビタミンCが根の中心部の2倍ほど含まれ、きんぴらや味噌汁などに利用できます。

 

切り干し大根の炒め煮

 

よく水洗いして、被る程度の水に10分以上浸けます。(このもどし汁ごと調理に利用すると栄養も取り入れることができおすすめです。)

水気を絞ったら適当な大きさに切り、ニンジンやさつま揚げなどとともに油で炒め、もどし汁と醤油、砂糖、みりん、だしなどで煮込み、汁気がなくなり味が馴染んだら出来上がりです。

調理したものは冷蔵庫で4〜5日、冷凍で2週間〜1ヶ月保存がききます。ダイエットにもうってつけですので是非お試しください。

 

参考文献

「ハーブのわかる事典」ナツメ社

「自分で採れる薬になる植物図鑑」柏書房

ブログ著

鈴木さちよ

ブログ監修

管理栄養士 坂本禮子

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