「田舎の薬棚」と呼ばれ、薬効が多い『エルダーフラワー』
イギリスの郊外では、人里の雑木林にはありふれて見られる樹木です。
全草が薬効に富み、あらゆる治療に使用され、庶民には欠かせないハーブであったことから「庶民の薬箱」「万能の薬箱」または「田舎の薬箱」などともよばれ親しまれている植物です。
エルダーフラワーは、北ヨーロッパの神話や伝説などに多く登場するハーブです。エルダーの根元には妖精が住んでいると伝えられたり、かの有名なハリーポッターシリーズでは魔法学校の校長先生の魔法の杖として登場しています。様々な薬効を持ち、飲み物や料理にも利用され、親しみやすい樹木です。しなやかかつ可憐であり、たくましい生命力をもつ性質から、好んで取りあげられているのでしょう。
鈴木 さちよ
ハーブ事典でもこのハーブを紹介しています
エルダーフラワーのコーディアル
材料(1人分)
エルダーフラワー(生) 40g(ドライの場合 20g)
砂糖 100g
レモン汁 大さじ1
水 200ml
ガラス瓶、ガーゼの布(漉し器)
①鍋に水とエルダーを入れて火にかけ、沸騰してから3〜5分程弱火で煮出します。火を止めて蓋をして約5分程蒸らします。
②茶こしで①を濾して再び鍋に抽出液を戻します。
③ ②にさとうを入れて弱火で完全に溶かし、火から下ろして冷まし、最後にレモン汁を入れます。
④保存用のガラス瓶などに入れて冷蔵庫で保存し2〜3日でいただきましょう。
⑤氷や水などで濃さを調節したり、レモンバームやカモミールなどのハーブをブレンドしたり、砂糖をハチミツに変えても楽しめます。
6月のハーブ:エルダーフラワー
和名: セイヨウニワトコ(西洋ニワトコ)
学名: Sambucus nigra
別名: Bore Tree(ボアトゥリー)
原産地: ヨーロッパ、西アジア、北アメリカ(温帯地方、北半球)
分類: スイカズラ科ニワトコ属
花言葉: 思いやり、愛らしさ、熱心
特徴:
樹高10m弱の落葉樹です。葉と幹にはジャコウの香りがあります。花はクリーム色がかった白色で、初夏に小さな花が房状に咲きます。秋には黒色のベリーをつけます。
利用:
花部は発汗作用、利尿作用、抗アレルギー作用があり、風邪やインフルエンザ、花粉症、咽喉炎、関節炎や緩下剤として利用されます。葉は打ち身や捻挫に外用に利用します。また除虫剤としても利用します。樹皮は乾燥させててんかんに、根はリンパ腺と腎臓の病気に利用します。漢方しては、葉、枝、根を骨折と筋肉の痙攣に用います。
参考文献:
ハーブの図鑑/萩尾エリ子著/池田書店
ハーブ学名語源事典/大槻真一郎・尾崎由紀子著/東京堂出版
完全版ハーブの写真図鑑/レスリー・ブレムネス著/日本ヴォーグ社
メディカルハーブの事典/林真一郎編/東京堂出版
ハーブを楽しむ暮らしのレシピ/フローレンスめぐみ監修/朝日新聞出版