野山の妖精、「ワイルドストロベリー」

古代ローマ人は果実を女神に供え、中世の人たちは聖母マリアに捧げていました。小さな実を口に入れた時、予想以上に広がる香りと天にも昇るような心地になったからかもしれません。

初夏から秋まで次々と小さな5弁の白い花をつけ、赤い小さな実を付けます。葉も三枚の鋸葉縁の複葉を持ちます。その姿はヨーロッパ等で陶器に描かれ広く親しまれてきました。

私も結婚した時に買いそろえたティーカップのセットがワイルドストロベリーの柄のものでした。今でも大切に愛用しています。特徴を捉えやすいイチゴは絵にしてもとても素敵です。

代表 鈴木さちよ

ワイルドストロベリー(栽培)の楽しみ方

数年前にワイルドストロベリーを育てて実がつくと結婚できるという噂がテレビで報じられたことがあります。花言葉の「幸せな家庭」にあやかって小さな妖精のようなワイルドストロベリーを育ててみましょう。

日当りのよいところで肥沃な土(赤玉土を主にした用土)を好みます。春や秋に種を直まきかトレー等にまいて土で覆わずに発芽させます。
ランナーが出た場合は切り取って株分けします。厳しい冬の場合は枯れてしまうこともあるので鉢あげして室内で楽しむのもよいでしょう。かわいらしい鉢に植えて姿を見たり絵を描いたり、お茶として利用したりと楽しんでください。

10月のハーブ:ワイルドストロベリー

和名:ヨーロッパクサイチゴ

学名:Fragaria vesca

別名:ウッドランドストロベリー

原産地:ヨーロッパ、西アジア、北アメリカ

分類:バラ科・イチゴ属/多年草

花ことば:尊敬と愛情 幸せな家庭

特徴:
強健な野生種。小さな実は栽培種のイチゴと比べるとはるかに小さいですが、香りと味は豊かに口に広がります。地を這うように広がり節からも根を出し、こぼれ種やランナーで仲間をふやします。種の発芽率もよいため思わぬところに芽を出します。

利用:
実は鉄分とカリウムやビタミンCが豊富で、ジャムやシロップ、リキュールや砂糖煮の香り付けに使われ、貧血、糖尿病、リウマチ様の痛風、腎臓や肝臓の疾患 などの治療に効果を発揮し、解熱作用のある飲料がつくられます。歯石や歯の黄ばみを取り除き、日焼けによるほてりを鎮め、肌の炎症や火傷などに外用し、そ ばかすを薄くする作用もあると言われています。収斂作用のある葉のティーは気持が落ち着き、脂性肌の収斂剤としても利用できます。根には整腸作用、利尿作 用があります。ハーブティーに赤い実を加えて香りを楽しむのもよいでしょう。ストロベリーの香りは食欲を抑えてくれる作用があるそうです。
※イチゴのアレルギーのある方は控えて下さい。

参考:
「ハーブの図鑑/萩尾エリ子著/池田書房」、 「ハーブの写真図鑑/Lesley Bremness著/日本ヴォーグ社」、 「オーガニックハーブ図鑑/Jekka Mcvicar著/文化出版」

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