映画で、あなたの普通が広がる体験を vol.2『フジヤマコットントン』

 

自分らしくいられていますか?

好きなものを好きと言い、嫌いなものは嫌いと言い、嬉しいことがあれば笑顔になり、遠い誰かを慈しむ。例えばそれが自分らしさの一つの定義だとしたら、そんな当たり前のことが、当たり前ではなくなった日が、多くの人にあるかもしれません。外で泥団子を作っている我が子に、汚れるから止めなさいと言った、私にはそんな記憶があります。例えば食事に出かける直前だったとか、私にも理由があるように、子どもにも理由があって。もしかしたら誰かを喜ばせようとしていたかもしれないその行動を、理由も聞かずに頭ごなしに否定してしまいました。自分らしさを摘んでしまった瞬間かもしれません…反省…。

「綿」を種から育て、収穫し、布を織る。「みらいファーム」のみなさんにとって大切な活動

今回は、映画『フジヤマコットントン』をご紹介します。
語呂がよく、気持ちが穏やかになれるそんなタイトル通りの、心を優しく包み込む作品です。甲府盆地のド真ん中、山梨県中巨摩郡にある障がい福祉サービス事業所「みらいファーム」。様々な障がいを持つ人々が思い思いの時間を過ごす様子を、神様のような視点で見つめていくドキュメンタリー作品です。花の世話をしたり、布を織ったり、絵を描いたり、みんなで畑に出たり、繰り返されるような日々のなんでもない会話の中の、たくさんの輝きや葛藤が、優しく強く突き刺さります。 『仕事ってなに?』という素朴な問い掛けに、監督とともに一瞬戸惑う私。仕事ってなんだろう、なんで仕事をしているのだろう。そんなみなさんがふと抱える素朴で切実な疑問も晴れていくような作品です。

甲府盆地にある「みらいファーム」。ふと見上げるといつも富士山が見守ってくれている

綿はふわふわとすべてを柔らかく包んでくれるかのよう

本作の優しさは、青柳監督の距離感によって紡ぎ出されています。「みらいファーム」は、監督のお母さんが長年勤めている事業所で、幼いころからよく遊びにいっていたそうです。本作に出演しているみなさんとも、大好きな友人として丁寧に向き合っていたことがよくわかります。私たちが観ているものはカメラが記録したものですが、カメラなど存在せず、ただ青柳監督の目に映るもの、その日常を俯瞰で観ているような自然さなのです。

自分らしく…普通…それは自分のものさし次第かもしれません。10cmのものさしを、世界一周するようなものさしに変化させるのも、私次第。そして、あなた次第。

<フジヤマコットントン> ものさしも、トントンと伸びていくような優しい幸福のおまじないに触れてみてください。

 

あまや座 支配人 大内 靖

 

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作品上映情報

『フジヤマコットントン』

予告編 https://www.youtube.com/watch?v=z6u3mX3tlEI

 

あまや座にて上映予定

2024年6/15(土)〜21(金)10:05〜11:50
2024年6/22(土)〜28(金)17:25〜19:10

(2023/カラー/95分/日本/ドキュメンタリー)

 

監督・撮影:青柳拓(『ひいくんのあるく町』『東京自転車節』)
撮影:山野目光政、野村真衣菜/編集:辻井潔/音楽:みどり(森ゆに、青木隼人、田辺玄)/整音:渡辺丈彦/構成・プロデューサー:大澤一生/製作:水口屋フィルム、ノンデライコ/宣伝:リガード/配給:ノンデライコ
文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会

 

公式サイト:https://fujiyama-cottonton.com/
X(旧twitter):@fujiyama_cotton
Facebook:@fujiyamacottonton
Instagram:@fujiyama_cottonton

©nondelaico/mizuguchiya film

 

 

(作品説明)

山梨県は甲府盆地のど真ん中にある障がい福祉サービス事業所「みらいファーム」。ラジオ体操をして、仕事をして、お昼休憩を挟み、また仕事をする.…。繰り返される日々に目を凝らし、仕事に取り組むさまを見つめていると、花を世話する、絵を描く、布を織る、その手つきに確かに「その人らしさ」が現れてきます。季節が移ろうように、少しずつ変化していく「みらいファーム」の人たち。友情、恋心、喪失とそこからの回復。他者との関わりの中で醸成されていく感情と言葉をカメラは丁寧に記録し、時に人生に思い悩みながら生きる等身大の姿を魅力的に描き出します。「みらいファーム」を見守る富士山と、ふわふわとすべてを柔らかく包む綿という二つのモチーフから生まれた、カメラに映る全てを優しく力強く肯定するドキュメンタリー。

 

 

ミニシアター「あまや座」

茨城県那珂市の閉店したスーパー敷地内に、映画文化の振興、地域活性のため、2017年にオープン。セレクトする映画は、国内外の有名無名を問わず、人間ドラマを描いたものやテーマ性の強いドキュメンタリー映画、不朽の名作のリバイバルなど、映画好きの心を掴み茨城県外から訪れる人も多い。

あまや座HP:http://amaya-za.com/

茨城県那珂市瓜連1243
定休日:毎週水曜日

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