【第1回目】「修復」の概念が、修復不能なほど壊されました

こんにちは。滝です。
アート道場がついに始まりました。

記念すべき第1回目として、水戸芸術館で開催された「修復」をテーマにしたワークショップに参加してきました。
「修復」って、壊れたものを直すっていう印象ですよね。私もそんな印象でした。
辞書で調べても、「破損や劣化してしまったものを、元の状態やそれに近い状態に戻すこと」とあります。

でも、今回の「修復」は一般的な「修復」とはちょっと違いました。

今回のワークショップの会場

今回のワークショップは、現代アーティストの竹村京さんにご指導いただきました。
「修復」ってどうするのだろう?と疑問を感じながらも竹村さんのお話を聞いてみて、素直におもしろい!と感じました。なんだかやさしい気持ちにもなったんです。
思っていた「修復」とは違うのですが、とても素敵な考え方でした。

ここで、少し、竹村さんのお話をします。

竹村さんは油絵の具の素材感がなんとも日本のものではないと感じて、他の素材を探していたそうです。
そんな時に、芸大3年生の古美術研究旅行で、これだと思える素材に出会いました。
それが、絹(シルク)です。
中宮寺で天寿国繡帳という日本最古の絹刺繍に出会い、絹が1300年も保存できることを知り、「油絵の具に対抗出来る素材に出会った!」と思われたそうです。
そこから絹を使い始められたのですが、絹糸を購入していた糸屋さんから絹産業が衰退している話を耳にし、より意思を持って使うようになられたのが大学4年の頃。その後、ベルリンに移り住んでアート活動をされましたがドイツには絹糸がなく、京都から輸入して使われていました。そして、ドイツで15年が経ってから帰国し、京都の糸が実は群馬で作られた糸だと知り、群馬県に住むことになり現在にいたります。
まさに、絹と結ばれているような方です。

▲真ん中が竹村京さん。まずは、自己紹介。

竹村さんは、ドイツに住んでいる時にカーテンで壊れたものを包んだのがきっかけで、壊れたものを絹でつつむ作品を作るようになります。

壊れてしまうと光があたることなく寂しい素材となってしまいます。だからこそ、なおせる方が現れるまでとっておけるように絹で包んで、仮の状態にしておくこと。このことが、竹村さんの考える「修復」なのです。

なるほど。これも、固定概念を壊す、アートだと感じました。
自分の固い考えが、修復できないほどにぶち壊された感覚です。

そんな竹村さんご指導のもと行われたのが、「竹村さんと壊れ物を〈修復〉する」ワークショップです。

まず、準備するものは壊れてしまったけど「大切にしていたもの」 です。

私が選んだのは壊れた「おもちゃの部品」です。
皆さんから見れば「なんじゃこりゃ」というものだと思いますが、私にとっては思い入れがある壊れてしまったものなんです。

私が息子に初めてプレゼントした変形ロボの部品で、結構、細かい作りになっており、子供の手では扱いにくいものでした。
使い込んでいくうちに、ついついポキンと一部を折ってしまいました。
折れた部分をなんどか接着剤でつなぎ合わせて使っていたのですが、やはり遊びの圧力には耐え切れず、折れた部分はどこかにいって無くなってしまいました。

息子も成長とともに遊ばなくなってしまいましたが、ものを大切にすることを感じてもらえてるかなと満足しています。

▲私が持参した壊れてしまったけど「大切にしていたもの」

ワークショップは参加メンバーで、壊れてしまったけど「大切にしていたもの」を発表するところから始まりました。
やはり、みなさん「大切にしていたもの」だけあってかなり思い入れがあり、この発表を聞くだけでも面白かったです。
普段はなかなか味わえない体験で、自分の発表の番が来るまでドキドキして、手に汗を握ってしまいました。

私の「大切にしていたもの」は他の方のものよりは見劣りし、一見、何だか分からないものではあります。
でも、思い入れは人一倍です。負けずに思いを伝えました。

結果、参加者の皆さんには、温かく聞き入れていただき、とても助かりました。

▲持参した壊れてしまったけど「大切にしていたもの」を必死で説明

そして、今度はその思いとともに、壊れてしまったけど「大切にしていたもの」をシルクの布で包んで行きます。
その時に、包むシルクの布に絹糸で刺繍をしていきます。
この刺繍は、ボランティアの小崎さんに手伝っていただきました。

この壊れてしまった「おもちゃの部品」はライオンをモチーフにした変形ロボの部品です。
なおせる人があらわれる未来まで残すためにも、「まだ大丈夫!動く意思を持っている。」ことを感じてほしい。そのライオンの意思がまだこの部品には宿っていて、今でも頑張っていることが伝わる刺繍にしたい。
どんな刺繍にすれば良いか、お手伝いいただく小崎さんと一緒に考えました。

そして答えは、ずばり、ライオンの顔を表現する刺繍です。

▲小崎さんとどんな感じにするか相談中

ライオンの熱い気持ちを表現するためにも、赤やオレンジの糸で刺繍しようと思い絹糸を選んで針に糸を通そうと思ったところ、最大のピンチが訪れます。

なんと、全然針の穴が見えないのです。もう、針穴のぼやけ具合がすごかったです。

ここで活躍したのが糸通しです。糸通しがあって本当に助かりました。テーマとは関係ないですが、糸通しにちょっぴり感動しました。

▲針に糸を通せない

慣れないことで四苦八苦しましたが、実際に手で触れて絹のやさしさを感じることができました。

そして、出来上がったのが下記の写真です。
ライオンの熱い魂を感じますでしょうか?

▲何とかできました

今回のワークショップは約2時間でしたが、あっという間でした。
もともとの固定概念を覆すことも、アートなんだと感じることもできた2時間です。
私でも覆せそうな固定概念がないか?と、これを機に考えてみたいと思いました。

また、改めて壊れてしまったけど「大切にしていたもの」に触れ、息子との思い出がよみがえり、さらには未来に希望を残せる素敵な時間を味わえました。

ぜひ、皆様も壊れてしまったけど「大切にしていたもの」があれば、自分なりの修復をしてみてはいかがでしょうか。

皆様も新しい自由な「修復」と出会えることと思います。

それでは、次回もお楽しみください。

▲竹村京さん・小崎さんと記念撮影

ちなみに、
今回のワークショップでできた作品は、水戸芸術館で開催される竹村さんの企画展に、まつわるエピソードとともに展示されます。

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「竹村 京 うごくせかい」

会期:2026年7月25日~10月12日

会場:水戸芸術館現代美術ギャラリーほか

https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5428.html

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私は、息子と見に行きます。

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