水戸芸術館現代美術センター学芸員、後藤桜子様による連載です。
枝と風を学ぶ方法(1)
1. よそ見のすすめ
「草はなすべきことがあんまりない」 突然だが、わたしはよそ見の多い人間だ。 たとえば通勤時、家から職場までの短い道のりでも、家の塀から飛び出した庭木の枝や、アスファルトの割れ目から力強く伸び出す緑、そ...